壺と少女の情景
壺に水が入っている
少し澱んでいる。
気長に眺めていると澱は沈み
水はとりあえず綺麗になったみたいだ
この壺の水はたまに波紋のようなものを見せる
真ん中から
壺を誰か突いたように端から波打つこともある
明くる日は蓮の花が浮いていて
明くる日はカエルがやってくる
肩に髪がかかるくらいの少女が壺を抱えている
大事に大事に抱えている
そんな日もあれば壺にヒビが入っていて
水は一体どんな様子なんだろうか
澱んでいるのか、波打っているのか
少女は時々だが姿を見せるようになる
今日は壺に入ってしまったヒビを撫でて
壊れてしまわないように撫でて撫でて
怖がらないで。
気長に待とうよ。
時が経てば澱は沈んで蓮の花が生き生きと
それを見にきたカエルは君に笑顔をくれるだろう。